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いのですよ」児相の方の言葉で私は自らの責任を再確認した。夫は私の負担を軽くすべく生活改善を積極的に始めた。まず居住空間の確保。みつわ台に引っ越しを決め、山の様な洗濯物も7?の自動洗濯機で解消。その他にも色々見直し改善した。平成8年3月、のんびり屋で夢を見ている様な本当に手の掛るS子の卒園式。園長先生から証書を受け取り、私に渡してくれた時、涙が溢れた。「本当のお母さん空から見ていますか。あなたが受け取ってあげたら本当に良かったのに」と思った。式後、S子も同じ想いらしく「本当のお母さんに来て欲しかった」。園長先生に嗜められたけど、私の母に対する愛を思えば、この子の実母に対する想いが身に染みる。今では子供達の言葉では傷つかない。この子達が求めて伸べてくる手だけを信じよう。今年5月、私の母は脳血栓で倒れたが処置が早かった為、力強く生き返って来てくれた。母は私に「まだ死ねない」と言った。そうです母さん、私がこの子達を5年後親族にお返しするまで頑張ってねと、念ずる想いです。病身の自分より私の体を心配する母、母とはそういうものですね。自分の命さえ子の為に捨てられる。この子達にそれ程の愛情を持った人達がいないことが本当に下欄です。一年半の苦しみは出産の苦しみだったと思っ

 

 

 

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